猫にアロマは大丈夫?|動物とアロマの関係とは!?「アロマセラピー」
こんにちは、アロマ薬剤師松岡輝樹と言います。
当記事では、「動物とアロマの疑問」を解決すべく、執筆しています。
私たちは、精油やアロマオイルなどの香りを嗅ぐと、とても心地いい気分になります。
特に、自分の好きな香りだとリラックスできますよね?
しかし、私たちにとっては「いい匂い」と思う香りが、動物にとっては敏感に感じとってしまうかもしれません。
実際に、犬の嗅覚は、人間の100万倍とも言われております。
そのくらい、犬の嗅覚は優れているのですね。
そんな鋭い嗅覚を持っていると、僕たちが当たり前に使用している香りは、物によっては苦痛に感じているかもしれません。
そこで「動物にアロマセラピーは可能なのか?」について、説明していきます。
実際に、動物を飼っている方やペットサロンで、アロママッサージをしている方も多くいらっしゃると思いますので、気になる方はぜひ参考にして下さい。
目次
動物とアロマについて
まずは、動物とアロマについて、解説していきます。
アニマルアロマセラピーとは?
「アロマセラピー」という用語は、読者の方々にとって、馴染みのある言葉だと思います。
アロマセラピーは、人間だけではなく動物にも楽しんでもらいたいという意味も込めて、最近では「アニマルアロマセラピー」という言葉が浸透し始めています。
今現在では、アニマルアロマの認定講座や教室もあるくらいです。
例えば、ペット資格通信講座を受講するにあたり、ペットのケアに対する知識を学んで「アニマルアロマアドバイザー」として、実際に活動することもできます。
特に、ペットの日常のケアであったり、ペットのストレスを気にしている方、トリマーなどをされている方など、動物に興味がある方にとって、とても楽しめる内容だと思います。
話が少しそれてしまいましたが、
アニマルアロマセラピーは、自然治癒力を引き出す効果もあることから、動物にとっても期待できると言えるでしょう。
このアニマルアロマセラピーで一番期待できるのは、「自律神経の安定」です。
動物は人間と同じく、香りの情報は鼻から入り、自律神経に作用します。
そのあとに、免疫の機能やホルモンのバランスを調節し、ストレスなどを軽くすることでさまざまな体の不調を取り除きます。
それによって、心身ともにリラックスさせることができると言われています。
ただし、私たち人間と猫や犬などでは、体の大きさも香りや成分の処理のスピードや能力など、まったく違います。
香りを楽しむ分に関しては、少量の精油であれば、人も動物もほとんど問題ないです。
しかし、たくさんの量の精油を使ってしまうと、犬や猫などの動物の嗅覚や代謝機能の観点を考えても、香りはかなりつらいものです。
では今から、猫と犬を例に挙げ、解説していきます。
動物にアロマは危険ってホント!?
動物(猫などの肉食動物を除く)とアロマについては、少々香りがする程度であれば、ほとんど問題ないです。
しかし、トリートメントなどで精油を使用する場合、特に注意が必要です。
犬とアロマについて
犬は、動物上の分類の中では「雑食動物」に分類されます。
雑食動物の特徴や利点は、肉や植物を分解する消化酵素も備わっているため、肉も野菜も食べられることが利点です。
そのことから、犬がいる室内で精油を焚くことに関して、ほとんど問題ないと言われています。
しかし、はっきりとした研究データや治験データがないのも現状です。
さらに、先ほども書いた通り、犬の嗅覚は人間の100万倍以上とも言われています。
そのため、使用する精油の量などには十分注意が必要です。
猫とアロマについて
では、猫はどうでしょう?
猫に関しては、解毒に関する酵素を一部持っていないので、精油の植物成分を十分に分解しきれないと言われています。
この解毒する機能は、私たちの体の中にある肝臓がほとんど担っていて、その解毒に使われる酵素も肝臓に存在します。
犬や人間などの雑食動物の場合、植物の成分を解毒し処理する酵素を持っているため、精油の直接的な使用は、ほとんど問題ありません。
しかし猫の場合は、完全な肉食動物なので、植物を処理する酵素を持っていません。
こういった香りの成分を解毒し処理をする酵素の正体は、「UDP–グルクロン酸転移酵素」と呼ばれる酵素です。
これは、薬などの代謝にもかかわる酵素で、わかりやすく言うと「有毒のものから無毒のものに変換する酵素」のことです。
この酵素は、私たちが熱を出したときに使用する解熱剤「カロナール」を解毒する際にも使われます。
そのため、猫にカロナール(アセトアミノフェン)を飲ませると、肝臓や血液の副作用のリスクが上がって危険です。
※猫にカロナールは使わないこと。
このように、猫はある精油の成分に対して、中毒を起こしてしまう可能性が高いため、猫を飼っている場合は注意が必要です。
猫に危険な香りとは?
まずは実際に、猫の体で代謝されにくい成分の特徴について、列挙しています。
- フェノール類
- ケトン類
- アルコール類(モノテルペン類など)
特に、香気成分の中でも、フェノール類やケトン類、アルコール類の成分を持つものは、猫にとって危険だと言われております。
例えば、
リモネンの成分を含む精油であるレモンやオレンジ、グレープフルーツなどのかんきつ系の精油。
αピネンの成分を含む精油であるマツやヒノキやスギ、パインなどの針葉樹の精油。
他にも、ユーカリ、サイプレス、ジュニパー、サンダルウッド、シトロネラ、ゼラニウム、フランキンセンス、ペパーミント、ティートリー、ローズマリーカンファ―、バジル、ブラックペッパー、パチュリ、オレガノ、シナモンリーフ、クローブ、タイム、セージ、スペアミント、スパイクラベンダー(真正ラベンダーは大丈夫)、ミルラ、ローズ、レモングラス、イランイランなどもNGです。
中でも、ティートリー精油は危険性が高いと言われています。
香りの動物への影響と対策
アロマの中毒を起こしてしまった時の症状は、痒み、くしゃみ、震え、吐き気、下痢、歩き回る、よだれを流す、ふらつきなどです。
これらの症状が2時間~8時間の間であらわれるとのこと。
このように、アロマの香りが原因で中毒症状を起こしていると思ったら、すぐに動物病院に連れて行ってあげてください。
他にも、ウサギや鳥、馬も基本的に雑食動物なのですが、注意は必要です。
但し、猫以外の犬や鳥などでも一つ言えることは、動物とアロマの研究数が少ないということです。
その点においても、ペットを飼っている場合は、精油の香りを直接使うことはお勧めできません。
もし、それでもアロマの香りを使用したい場合の対策は、以下の通りです↓
- 部屋を換気する
- 使用頻度を減らす
- 枕元や外出時に精油を使う
- 猫の出入りしない部屋で使う
- ベランダでアロマスプレーをふる など
工夫していただければいいのかなと思います。
万が一、精油が動物の肌に付いてしまった場合は、すぐに洗ってあげて下さい。
はっきりとは言えないのですが、動物に対して比較的に安全性が高い精油は以下の通りです。
- カモミール
- ラベンダー(真正)
- クラリセージ
- ネロリ
とはいえ、アロマセラピーの精油にはさまざまな成分が含まれていますので、猫にはアロマを使わない方が無難です。
最後に
私たちだけではなく、動物に香りを楽しんでもらうためにも、正しい知識は大切。
一方で、アロマと動物に関しての研究は不十分なところがあります。
そのため、猫のような肉食動物は、植物の成分を代謝する酵素を持っていないので使用はNGです。
また、家で飼っているようなペットは、私たちよりも小さいのは確か。。。
動物の気持ちを考えると、私たちが当たり前に使うような香りの濃度や量は、動物にとってつらいものだということは間違いないでしょう。
なので、もし、犬などの雑食動物(ペット)のいる部屋で香りを楽しむ場合や、犬などのペットに香りを使ってあげたい場合は、香りを薄めて使ってあげると動物への負担も減るかとは思います。(精油1~2滴程度)
この記事を通じて少しでも、動物と香りについてのことを理解していただけたら幸いです。